2022年5月21日

M1 MacBook Air レビュー #2 M1をベンチマーク!7コアGPUの性能を解明!

この記事では、ベンチマークを実行し、M1 MacBook Airの性能を解剖・比較します。
特にGPU性能についての解説がインターネット上にあまり見当たらなかったため、GPU性能について詳しく見ていきたいと思います。

#1 開封編
#2 GPU等性能比較編
#3 macOSの設定編
#4 メモリ編
#5 Surface Pro 7と比較編
#6 返品編

この記事では、参考のために私の自作PCと比較していきます。スペックは次の通りです。

  • Ryzen 5 5600X (PBO2適用)
  • GeForce GTX 1660 (TUF GAMING 2連ファン)
  • Windows 11 Home Insider Preview Build 25115
  • RAM32GB / SSD500GB (WD SN550)

M1 MacBook Airのスペックは次の通りです。

  • 7コアGPU
  • macOS Monterey 12.3.1
  • RAM16GB / ROM256GB

M1チップのCinebench R23のスコアはマルチ6749・シングル1494でした。
巷で言われているスコアより若干下回る感じでした。
Ryzen 5 5600X (PBO2適用)のスコアはマルチ11183・シングル1496でした。マルチは半分、シングルは同等程度ですね。

M1 MacBook Airはファンレスですが、連続して負荷をかけた場合に性能がどうなるかを検証してみます。
連続してCinebenchを実行して熱を溜めると、マルチスコアは6000未満まで低下します。
熱が溜まると、キーボード上側の狭い部分が特に熱くなります。底面も画面に近い部分から温かくなります。ネットで分解の解説を見ると、画面側にM1などが載るロジックボードがありそこから発熱しているのがわかりますね。

「全然発熱しない」と言うのは言い過ぎですが、筐体全体が熱くならないのは凄い。バッテリーに熱が加わると寿命が大幅に縮まってしまいますから、素晴らしいことです。
発熱による性能低下が1割程度なのも驚くべきことだと思います(Intelがカツ入れしすぎているので相対的によく見えるのはあると思いますが)。

私の主たる活動であるMisskeyのビルド時間を比較してみます。3回計測した平均で、時間にバラつきはほとんどありませんでした。
(npx yarn build @ 12.110.1-p1.22)

自作PC WSL2 Ubuntu: 22.20秒
M1 MacBook Air Multipass Ubuntu (mem=6G): 23.94秒

確かに2秒弱違うのですが、誤差と言って差し支えないと思います。

GPU性能の検証があまりなかったため、GPU性能が試されると想定した2つのクリエイティブ処理と2つのゲーム性能比較を行いました。

まずはDaVinci Resolveのスタビライズ解析処理にかかる時間を計測します。12秒の4K動画と1分半の4K動画のスタビライズ解析を比較します。3回計測した平均です。
使用したバージョンはDaVinci Resolve 17.4.6 BUILD 4です。

GTX 1660: 9.5秒
M1 7-Core GPU: 18.4秒

GTX 1660: 79.5秒
M1 7-Core GPU: 135秒

M1 7-Core GPUは、GTX 1660と比較してスタビライズ解析処理に約2倍の時間がかかっていると言えます。

私はこのスタビライズ処理を多用するため、処理時間が長いと困るところではあります。

次に、39秒の4K30p動画の書き出し(エンコード)にかかる時間を比較してみます。h264とh265の2つのフォーマットを試します。

h265: 16秒
h264: 68秒

h265: 24秒
h264: 25.5秒

h265エンコードは、両方ともGPUを使用したため、性能差が素直に出てきました。ちょうど1.5倍になっています。
一方、自作PCでは、h264エンコードにかなり時間がかかっています。これは、WindowsのDaVinci Resolve無料版では、h264エンコードでGPUを使用できない制約があり、CPUのみでエンコードしているためです。

Minecraftでシェーダー「projectLUMA」を適用し、同一シーンでのFPSを比較しました。プロファイルを最高設定であるCinematicに設定し、FHD表示で検証します。
比較はPeerTubeもしくはYouTubeの動画でご確認ください。

ラフな比較にはなってしまいますが、GTX 1660がM1 7コアの3倍程度のFPSで表示できていることが確認できます。

私が遊ぶ数少ないゲーム「Cities:Skylines」を実行し比較します。
バージョンは1.14.1-f2で、macOSではRosetta 2を使用する必要があります。
MODは…たくさん入れています。
マップ人口は25,000人程度です。

次の設定で、特定視点のFPSを計測しました。

解像度: 1920x1080
被写界深度のタイプ: 標準
影の品質: 無効
影の描写距離: 最短
テクスチャの品質: 中
異方性フィルタリング: 有効
ディテールのレベル: 中
アンチエイリアス: 有効

自作PC: 38FPS
M1 MacBook Air: 15FPS

ここでも2倍以上の差がつきました。
M1では、影を有効にするとさらに5FPS程度低くなります。影は無効にすることをお勧めします。逆に、影以外の要素を変更してもFPSに変化はあまりありません。

Cities:SkylinesをMacBook Airで起動できたことに驚いています。
なぜなら、WindowsでCities:Skylinesを実行した際に、MODを多く適用するとメモリ16GBでは起動できなかったのですが、MacはMODを多く適用しても16GBでプレイできています。macOSはメモリ管理が優秀と言えます。

CPUが主に関わってくるシミュレーション速度についても確認してみます。
MOD「Simulation Speed Benchmark」で確認したところ、自作PCでは3〜6の間で推移していましたが、MacBook Airでは15前後でした。プレイしている間にも、人口増加にともなってどんどん数値が大きく悪化していく感じがします。Wikiによると30を超えるとまずいらしいので、人口5万人以上のマップは厳しいかもしれません。

Senseiで確認すると、CPU使用率が56%なのにも関わらず温度が90℃を超えていることがわかります。効率性コアはあまり使っていないのにパフォーマンスコアはほぼ100%で稼働しているので、Rosseta 2の影響なのかはわかりませんがCPUの使い方が悪く発熱して性能が落ちているようにも見えます。
ファンを搭載しているM1 MacBook Proであればもう少し違う結果になるのかもしれません。

ちなみにですが、Cities:Skylinesはトラックパッドでの操作に対応していません(これはWindowsのタッチパッドでも同様です)ので、マウスが必要です。
また、本体のRetinaディスプレイでは、擬似解像度ででしかプレイできないようです。ゲーム内設定で擬似解像度より高い解像度を選択しても荒い画質のままになってしまいます。FHDモニターに繋いで遊ぶのがいいと思います。

  1. M1チップはそこそこ元気よく発熱します。ただし発熱時の性能低下は1割程度で、筐体全体が熱くなることは稀です。
  2. 7コアGPUの性能はGTX 1660の1/2〜1/3程度です。
  3. Cities:SkylinesのMOD使用プレイでは、macOSのメモリ管理の恩恵に与ることができました。

CPUはかなりいい感じの性能だと思うのですが、GPUは中途半端な性能だと感じました。
そもそもM1に対応しているゲームがあまりにも少ない。せめて原神を簡単に遊ぶことができれば皆さん楽めると思うんですけどね。iPadでは動くのですから、理論上は対応できるはずです。

GPUがGTX 1660の半分〜1/3で中途半端とは言いましたが、Time Spyスコアで比定するとGTX 1650より少し劣るがRyzen 5000 APU (Vega 8)以上と言えます。割とすごい。

7コアGPUがGTX 1660の半分の性能ならば、14コアGPUのM1 ProならGTX 1660に近い性能が 出ると言うことができます (理論上)

つまりM1 MacBook Airを返品した上で自作PCをメルカリで10万円程度で売却し14インチMacBookにを買ってしまえばよいと言うことです(名推理)!!高性能かつワッパの良いPCを持ち歩けることは大変メリットがあります。
あくまで10万円で売れたらの話です。もう売ってるけど。

macOSに乗り換えるデメリットはBVE Trainsimが遊べないことぐらいでしょうか。

ところで、M1 ProのCPUの選択に悩んでいます。8コアCPUでもまあ十分と言われればそうかもしれないのですが、10コアCPUは5600XよりCinebenchスコアが高いらしいのですよね……

えっ、ほぼ同等性能のHP製ゲーミングノートが108,000円で買える?ファン音がうるさいらしい?シルバーとスペースグレイだけでゴールドがない?うーん、うーーん……
(ただ価格については14インチ帯の同一スペックのゲーミングPCは同じくらいの価格になってしまうので、14インチ以下で選ぶならMacBook Proが選択肢から外れることはなさそうです。)

#1 開封編
#2 GPU等性能比較編
#3 macOSの設定編
#4 メモリ編
#5 Surface Pro 7と比較編
#6 返品編